保育所運営費の弾力運用 保育所運営費の経理等

現在の保育園経営において弾力運営による積立金の活用は必須ですが、その要件は複雑なところも多々あります。これら社会福祉法人会計の対応は会計事務所などの専門家に意見を求めるのが確実かつ安心です。

運営費弾力運用の必須要件

平成12年3月に厚労省から出された「保育所運営費の経理等について(児発299号通知)」
は私立認定保育所が新会計基準へ移行されたことから、弾力運営をされている保育園は多いと思います。
そこで改めて299号通知が定めている弾力運営の要件を確認してみましょう。

 

・ 児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)が遵守されていること
・ 保育所運営費国庫負担金に係る交付基準及びそれに関する本職通知等に示す職員の配置等の事項が遵守されていること
・ 給与に関する規定が整備され、その規定により適正な給与水準が維持されている等人件費の運用が適正に行われていること
・ 給食について必要な栄養量が確保され、嗜好を生かした調理がされているとともに日常生活について必要な諸経費が適正に確保されていること
・ 入所児童に係る保育が保育所保育指針を踏まえているとともに、処遇上必要な設備が整備されているなど、児童の処遇が適切であること
・ 運営・経営の責任者である理事長等の役員、施設長及び職員が国等の行う研修会に積極的に参加するなど役職員の資質の向上に努めていること
・ その他保育所運営以外の事業を含む当該保育所の設置者の運営について、問題となる事由がないこと

 

これらすべての項目について要件を満たしている保育園は弾力運営を行っても良い事になっています。
どれも保育園を運営されている方々から見れば基本的な事柄と思われますが、行政機関による監査で必ずチェックされるポイントなので注意が必要です。

弾力運営の支出範囲

上記の要件をすべて満たした保育園については運営費の区分をこえて保育所事業に係る人件費、管理費、事業費に充てることができます。
さらに

・  人件費積立預金(人件費の類に属する経費に係る積立預金)

・ 修繕積立預金(建物及び建物附属設備又は機械器具等備品の修繕に要する費用に係る積立預金)

・ 備品等購入積立預金(施設運営・経営上効果のある物品を購入するための積立預金)

3つの積立金を運営費から積み立てることが可能です。
また園舎の建て替えを検討されている方については一定の要件(福祉サービス第三者評価、福祉サービスに関する苦情解決の仕組み等)をさらに満たすことで、運営費の3ヶ月分相当額(民改費相当分を含む)を積み立てることが可能です。まだ適用されていない保育園の方は一度ご検討ください。

(※これらの積立金に関して299号通知では複雑な規定が存在しますので、詳細は小澤事務所までお問い合わせください

積立金積立と取崩の注意事項

弾力運営で積み立てられた積立金はその積み立てた額が当該施設に係る経理区分の経常収入計(決算額)の5%相当額を上回る場合、収支計算分析表を別途提出しなければなりません。

一方、当期末支払資金残高(社会福祉法人会計における流動資産?流動負債)は過大な保有を防止する観点から当該年度の運営費収入の30%以下の保有とすることが299号通知において定められています。
つまり運営費が年間1億円の保育園だと1億円×5%=500万円 までの積立は収支計算分析表の提出が不要で1億円×30%=3000万円以下に当期末支払資金残高を抑える必要があるということです。

 

積立金の取崩についてはあらかじめ定められた目的(人件費、修繕費、備品購入等)のために取り崩すのが基本的な取引だと思われますが当初の目的以外に使用する場合は「事前に貴職に協議を求め、審査の上適当と認められる場合は、使用を認めて差し支えない」(299号通知)との記述から、理事会等で決議するなどの段階を踏むことによって実務上は取り崩し可能とされています。

別の方法として一定の要件(299号通知別表1参照)をみたす保育所については「保育所施設・設備整備積立金」という積立金が積立可能で当該積立金の使途範囲は施設・設備に関するものから賃借料など(別表2参照)幅広く使えることから、特に将来の園舎建て替えなどの積立には有効な手段だと思われます。

ここで注意しなければならないのは、園舎などの建て替えに多額の資金が支払われた場合等に前期末支払資金残高を取り崩す(つまり結果的に残高が前期より減少している)ことが多いので事前に関係各所への協議が必要です。
またそれ以外の事由でも経常収入計(予算額)の3%を超えると行政監査で指摘対象になりますので、決算日までに確認が必要です。

 

ここがポイント!

 

 

以上、見てきたように現在の保育園経営において弾力運営による積立金の活用は必須ですが、その要件は複雑なところも多々あります。これら社会福祉法人会計の対応は会計事務所などの専門家に意見を求めるのが確実かつ安心です。
その会計事務所には社会福祉法人会計に対応していることはもちろんのこと、中長期経営計画の作成、経理規定の策定、会計監査への同行が可能かどうかといった観点で選択されることをおすすめします。また女性職員が多い保育園業務の特性上、社会保険労務士との契約 を同時にして産休・育休の対応を整備することが安心であることに間違いありません。

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