営業職は残業代が要らない!? 事業場外みなし労働時間

社長や事業主の方からよくご相談を受けるのが、ずばり「残業代の支払い」についてです。厳しい経営状況の中、少しでも残業代を減らして効率よく業務をすすめたい、と悩むのは事業主の宿命。この背景には、「働いた時間」に対して賃金を払うという労働基準法の決まりがあるからです。手際よく、能率よく所定労働時間内に自分の仕事をこなす優秀な社員には残業代は払われず、ダラダラ効率悪く時間をかけ仕事をする社員にはオーバーした分の残業代が余分に発生し、できた成果物と払う人件費がマッチしない、という腹立たしい結果に頭を悩ます社長も多くいらっしゃるのでは。

みなし時間

労働基準法の中で、「働いた時間」にかかわらず「〇時間働いたものとみなす」というみなし時間が適用できるのは次の3種類です。

?事業場外みなし労働時間制    ?専門業務型裁量労働時間制   ?企画業務型裁量労働時間制

?は営業職や出張中など、「事業場外」で仕事し労働時間を算定しがたい場合、?は新商品の開発、システムエンジニアなど法律で決められた19業種に限り、?は会社の事業運営に関する企画・立案・調査・分析(つまり会社の中枢となる業務)に限ります。

事業場外みなし労働時間

今回は、多くの会社で使われている「?事業場外みなし労働時間」について解説します。

事業場外みなし労働時間が適用できるのは、その時間について『業務について具体的な指示を受けず、労働者の裁量で行い、労働時間の算定がしがたい』場合に限ります。この場合、原則として「所定労働時間働いたものとみなし」ます。もし、その業務が所定労働時間で終わらないのであれば、「労使協定により定めた時間を働いたものとみなし」ます。労働時間の算定がし難いという条件がありますから、次の場合は該当しません。

× 同行者に労働時間の管理をする者(社長や管理職)がいる

× 携帯電話等で随時会社の指示を受けている

× 訪問先、帰社時刻等の具体的指示を受け、それに従い業務に従事し事業場へ戻る(ルート営業など)

では、営業職の方が外での営業終了後、会社へ戻り内勤業務をした場合はどうでしょうか?

内勤業務は社内で行うため、「労働時間の算定が可能」な時間であるので、戻った後の内勤時間については、時間外労働時間の対象となります。つまり、外で「所定労働時間」営業して帰ったあと、会社へ戻り日報を書いたり、伝票を起こした時間は「所定労働時間外」ですので、内勤時間について残業代が発生することとなるのです。

これが、いわゆる「直帰」で営業終了後まっすぐ自宅へ帰るのであれば、残業代は発生しません。

時間外労働の最高裁判決

最近では会社から携帯電話を支給したり、個々の携帯電話を仕事で使用する事が当たり前となり、全く会社の指示を受けずに外で仕事をする事は稀になりつつあります。

これについて今年1月24日に最高裁判決が出されました。(阪急トラベルサポート事件)これは、旅行会社の添乗員が、会社の時間管理を受け業務を行っていたため事業場外みなし労働時間制にはあたらない、といって会社に時間外手当の請求を訴えた事件です。最高裁は、旅行日程や業務についてあらかじめ具体的な指示を出していた、常に携帯電話の電源を入れトラブル時は会社の指示を仰いでいた、添乗日報に各地の出発・到着時刻などを正確詳細に報告させていたことなどを理由として、会社に対し「時間管理を行えた」として敗訴の判決を出しました。これが後にどれくらい影響が出るか分かりませんが、会社側にとっては厳しい判決です。

いずれにしろ、時間外労働を避けようとするならば、所定労働時間内に効率よく仕事を終わらせた方が評価を良くする、作業方法を社内で教育するなど、意識と業務改革が大事ですね!

社員で悩んでいませんか?人事労務の専門家・社会保険労務士が相談・アドバイス

このページの先頭へ